若気のいたりでU社のプレミアムウルトラライトダウンジャケット(以下ULD)とかいう商品を昔買ったんだけど、安いだけあってそんなに暖かくないなぁと思っていた。 その後、社会人になってモンベルのライトアルパインダウンジャケット(以下LAD)を購入したところ、半端ない温かさに唖然とした。
間違って、あのULDを買っちゃう人が出ないようにもろもろ書いておこう。
まず、ダウンの品質。
ダウンの品質目安にFP=フィルパワーってのがある。 600FPぐらいはアウトドアだと安物、800FPぐらいがメインストリームで、900FPや1000FPは金持ち向け。
某ULDは640FPに対して、LADは800FPある。 FPは1ozのダウンを筒に入れて重りを載せて体積が何立方インチあるかという単位で、簡単に言えば同じ重量の時の体積差=弾力の強さ。
800/640=1.25だから、同じ重量のダウンを使っている場合、LADの方が1.25倍厚くなるという事。
ウェアで温かいとは何か。
温度(熱エネルギー)は高いところから低いところに流れていく。 何もないところからエネルギーは生まれないから、温かいウェアというのは外気との温度の流れを遮る断熱効果によって、着ている人間の熱エネルギー(体温)が漏れるのを防ぐというのが基本。
人間の汗を吸い込むことによって発熱するヒートなんちゃらとか、なんちゃらサーモみたいな素材もあるが、外側ではとにかく断熱しなければ意味がない(発熱しても外に出ていけば無意味)
ダウンが温かい理由。
ダウンに限らず、普通断熱材全般に言えることだけど、通常は空気が断熱の役割を果たしていて、ダウン自体が特段温かいわけではない。
身近なもので言えば発泡スチロールとか空気の粒があるから保温できるし、北国だと複層ガラスで窓ガラスの間に空気の層を作って断熱してる。 ダウンジャケットを衣類圧縮袋でぺったんこにしてみればダウン自体はたいして暖かくなくないのがわかるだろう。
で、品質で説明した通り高品質ダウンは同じ重量でより体積が大きい。 この体積差分空気があるんで、これが断熱効果を生んでいる。
なら、25%増しでダウンを入れれば同じ断熱効果が得られるのか?
答えはNo。 同じ体積になるけど、断熱効果の主役は空気。 1.25oz入れてやって同じ体積にしたら、空気以外のダウンが25%増えているからそれを伝って熱が逃げやすくなるから実際はより多くのダウンを入れる必要があるはず。
軽くて体積が大きいことが温かさに重要。
同じボリュームのあるジャケットなら軽ければ軽いほど断熱性が高いと思われる。 もちろん、最低限、空気が流れないように生地部分の厚さ(防風性)は確保する必要がある。
そして、これらの前提を踏まえてULDの重量は約200g、LADは約310gで重量差110g。
110g全部がダウン重量だったら4ozもの違いがあることになるが、生地の厚みなどもしっかりしていることを考慮して半分の2ozがダウン量だとすると、重量差(200gに含まれる部分の差を除いた)分だけで1600立方インチ位の体積差があることになる。
これはどれ位の厚さの違いになるのか。
メンズTシャツのMサイズの身頃(袖以外の胴部分)の生地サイズは縦60㎝、横49㎝位らしい。 インチに直すと、1インチ=2.54㎝だから、約480平方インチ、この面積に1インチの厚みで480立方インチ、表と裏にそれぞれ1インチの厚みが増しても960立方インチで足りる事になるから、600立方インチ以上残る。 袖とか襟とかにこれを割り当ててやれば、ちょうど良さそう。
ULDはスカスカペタペタでダウンがひろがりきっているけど、LADはパンパンに入っていて抑えられている状態なので実際は薄めだけど、それでも2㎝位の違いです。
以上のような理由から温かさは大違いで、ULDを2枚重ねてLADと勝負できるかどうか・・・? たぶんULDが負けます。
お値段はULDが年2回のセール時に約5000円なので2枚買って1万円、LADは公式アウトレットで1万2千円、楽天とかでうまくやるとポイント還元とかで1万円位。 ダウンを2枚重ねとかいう変なスタイルするとかアレだし、価格的にもLAD買った方がいいでしょこれ。
肌寒い時の部屋着とか、ミドルレイヤーとして、たいして寒くないときに使うならULDもありでしょうが、寒い時にはLADのが明らかにいいですね。